木製のコースターを作る ~データ作成編~

 今回は市販の木製板を使用し、コースターを作成してみたいと思います。

使用レーザー機はspeedy300 80w機、木製板はベニヤとMDFの合板(貼り合せたもの)の4mm厚です。

 まずはデータから。


 今回使用するデータは↑のような感じです。

 レリーフモードを使用し加工しますので、彫刻部分は黒と灰色4段階(40%、50%、60%、80%)、カット部分は内側(飾り部分)をブルー、外側(外周)をシアンで作成しています。
 内側と外側で使用色を変える事により、内側の切抜きの次に外側の切抜きを行うようにデータ上で予め設定しておきます。

 これは木板に限らず、他の材料を使用する場合でも同じ事が言えますが、切抜き(カット)を行う場合、ハニカム台を使用します。
 この時、分厚いものや硬いもの程powerを上げ、speedを下げる事になりますが、そうすると、照射されたレーザーが材料を貫通し切れた上、その下のハニカム台にも当たるので、往々にしてハニカムの目に沿ってヤニや溶けカスの汚れ、小さな焦げ痕が付いたり、ハニカム台からの跳ね返りで材料の裏面を焦がしたりという事が起きます。
 もちろんこれはpowerやspeedを調整する事により最小限まで軽減させることが出来ますが、ハニカム台または加工台の上に加工材料に合わせて作成した治具を設置し、材料を浮かせた状態(加工材料との接点を出来る限り少なくし支える状態)で切抜きを行うのも一つの手段となります。

 こうした場合、切り抜く部分の加工台と加工材料の間が何も無い(支えが少ない、または中空になっている)と、当然の様に切抜いた順番に切り抜けた部品(切りくず)が下に落ちる事になりますので、今回の様に内側の切抜き、外側の切抜きがある場合、外側から行ってしまうと内側が出来なくなってしまう事があります。
 
 こういう事が起きないようにするために必要になるのが切抜きの順番設定=trotecカラーパレットの色順(=jobcontrol 材料データベースの色順)を参照した加工設定です。


左から corel DRAW 、 Illustrator 、 jobcontrol
上(左)から順に黒、赤、青・・・黄色までの16色で設定出来ます

 corel DRAWおよびIllustratorの『trotec engraving plate』とjobcontrolの『材料データベース』の色順が同じ順番で並んでいますので、色を指定しての加工順設定に役立ちます。
 
 上図の内、今回は3番目の青を内側のカットに、5番目のシアンを外側のカットに、それぞれ使用していますので、彫刻終了後、3番目→5番目の順にカットが進みます。

 
 ちなみに。
これまで(2015年10月26日紙製コースター作成、同年8月19日アクリルプレート作成など)にも『レリーフモード』を使用しての彫刻をご案内してきましたが、通常(『標準モード』使用)と何が違うのか?について。

ブラック、グレー40%、50%、60%、80%を
それぞれ%毎に黒、赤、青、黄緑、マゼンタに置換
(カットラインはシアンとオレンジ)

 もし仮に、今回使用するデータと同じ絵柄を↑のように配色し、『標準モード』で加工するとしたら。
 
 まず一番に違うのが彫刻に掛る加工時間です。
データ内の各パーツ毎に色設定をし『標準モード』使用で彫刻すると、黒→黒終了後 赤→赤終了後 青→青終了後 黄緑・・・というように色毎に彫刻が行われ、その分時間が掛りますが、『レリーフモード』で加工を行う場合、彫刻はグレーの階調のみで行うので、黒1色分の加工時間で済みます。

 あとはデータ作成時に色の順番を気に掛けずに済む事、彫刻を黒1色で行う分、カットに使用する色数を増やせる事、が利点と言えると思います。
 
 但し、あくまでグレーの%のみで彫刻痕の溝の深さおよび濃淡を変えるので、細かな調整を行いたい場合は逆に不便かもしれません。
 用途に応じ、活用してみてください(^_^)b



◆補足

・上記説明文には記載しておりませんが、図内黄色の外周円は加工する際のポイント合わせ用目印です。加工内容とは直接関係ありません。

・レーザー機の加工は彫刻→カットの順に進みます
よって、上記のように彫刻に使用する色とカットに使用する色が色順に従わず混在していても特に問題はありません。





次回は『加工編』に進みます(^_^)b



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