要チェックです

2017年9月12日火曜日

網点データで写真彫刻 3 ~本革への彫刻とカット~

 今回は『網点データで写真彫刻 2 ~網点データの作り方~』に続き、作成した網点データを使用して本牛革に彫刻およびカットを行ってみたいと思います。




 まずはデータの準備から。

 ※以下、Corel DRAW X7での説明になります。
使用するCorel DRAWのバージョンにより画面表示およびツール内容に若干の変動があります事、予めご留意ください。

 上部ツールバーより『ファイル』→『新規作成』。
『新規ドキュメントの作成』画面の中、『レンダリング解像度』を600dpiに設定(※)後『OK』を押して新規ページを作成。



 予め600dpi、レーザー加工に使用する実際の縦横サイズで作成・保存した網点画像を同じく上部ツールバーより『ファイル』→『インポート』で挿入。

●使用する画像について 参照
『網点データで写真彫刻 1 ~彫刻に適した写真とは?~ 』
『網点データで写真彫刻 2 ~網点データの作り方~』


 挿入後、Corel DRAW内で作図した文字やイラストなどを足しました。

 網点画像、カットラインの他、彫刻時間短縮のため、イラスト、文字、ロゴを右側と左側の2分割にし、それぞれ網点画像を黒、ハート型のカットラインを赤、左のイラストを青、右の文字とtrotecロゴを黄緑にカラー設定。
 オレンジの枠は加工範囲を示すガイドラインのため、実際の加工には使用しません。


※『レンダリング解像度』の選択肢は300までしか出ませんが、手動で300以上の入力が可能です。
また、ページ作成後、上部ツールバーより『レイアウト』→『ページレイアウトの設定』で出てくる画面内でも変更可能です。
ただしこちらも300以上の解像度は手動での入力になります。


 加工に進みます。

 ①上部ツールバーより『ファイル』→『印刷』→『詳細設定』でjobcontrolの設定画面(Trotec Engraver)を出し、下図 『材料設定』欄の赤○のボタンをクリック。



 次に出てきた画面で材料データベースの設定を行います。



※下記 レーザー機:speedy300 80w機、2.0inchレンズ、太口コーン 使用の場合のパラメーターです。
他w機で加工を行う場合は『w数×パワー%』でパワーの出力を算出してください。

例)80w機でパワー16%の加工 を 30w機で行いたい場合 80w×16%=12.8w=30w×約43%
よって30w機での加工は パワー:43 くらいが目安。
(あくまで目安ですので、必ずテスト加工および調整を行ってください)

・黒/ プロセス:彫刻 パワー:16 スピード:20 PPI:1000 
・赤/ プロセス:カット パワー:30 スピード:0.5 Hz:1000
・青/ プロセス:彫刻 パワー:30 スピード:20 PPI:1000
・黄緑/ プロセス:彫刻 パワー:30 スピード:20 PPI:1000

・Air assist はすべて『on』にて。

 設定が終了したら『OK』をクリック。

彫刻の出来具合(見た目、焦げ色)やカットに必要な出力は使用する皮革の色や風合い、厚み、硬さによって異なります。
 上記は今回使用した キャメル色、約1.5mm厚の牛革への加工に合わせたパラメータですので、皮革の色味が薄い、分厚いなどの場合はパワーを少し上げるなど、加工テストを行い微調整を行って下さい。


 ②写真のみと写真以外の2回に分けて加工を行います。
加工オプションの設定がそれぞれ異なりますのでご注意ください。

まずは 写真のみ から。


 先程設定した『材料設定』欄の下、図内赤□ 『加工オプション』の各欄の設定を行います。

 ・加工モード:標準
 ・解像度:600または1000 (※1)
 ・カット:無し (今回の作業には不要)
 ・ハーフトーン調整:モノクロ(※2)

※1)使用する皮革の色、風合いにより選択。600での彫刻を基本にテスト加工を行い、全体的に焦げ色が薄い(網点の点が上手く表現されていないと感じる)場合は1000に上げてみる。
(解像度を上げると基本的に細かな部分までの表現が可能になりますが、網点処理を行った画像を加工する場合、網点の密度が濃くなり過ぎ潰れてしまう場合があります)

※2)網点処理を行った画像(写真)を彫刻する場合、『ディサ生成』よりも『モノクロ』が効果的。

 設定が終了したら画面下部『JC』のマークをクリックしレーザー加工に進みます。


 ③イラスト・文字の彫刻、ハート型のカット用の設定を行います。

 再び②で出したjobcontrolの設定画面(Trotec Engraver)を出し、『加工オプション』欄の各設定を行います。

 ・加工モード:標準
 ・解像度:1000
 (文字やイラストの細かさによって500~1000で選択。細かな文字がある場合は1000が効果的)
 ・カット:無し(今回の作業には不要)
 ・ハーフトーン調整:カラー

 設定が終了したら画面下部『JC』のマークをクリックしレーザー加工に進みます。


 ④ ②・③で作成したデータでそれぞれ加工を行い、完成。

 
 ワンポイント)
 複数に分けたjobを同じ位置に重ねて加工する時、『マーカーをジョブ位置に作成』を使用すると便利。


  jobを選択(クリック)後、上図内 赤○のボタン『マーカーをジョブ位置に作成』をクリックすると、マーカーがjobの左上隅に付きます(青○)。
 このマーカーはjobを他の位置に移動または削除を行っても付けた位置から動きませんので、jobの入れ替えを行う時に便利です。

 ちなみに。


 付けたマーカーは、マーカーをダブルクリックし、出てきた画面の『削除』をクリックすると消え、その後何度でも付ける・消すを繰り返すことが出来ます。


●マーカーなどjobcontrolの便利機能 詳しくはコチラ↓↓↓
https://www.troteclaser.com/ja/knowledge/tips-for-laser-users/positioning-aid-laser-software/




●出来上がり

 
 
 
猫のヒゲや目の表情、柄など細かな部分も再現でき、元の写真から雰囲気を損なわない状態で出来上がりました(^^♪
 ちいさな文字もはっきり読み取る事が出来ます。



●他にも



 上記と同じ方法を用いると、パラメーター調整のみで、ベニヤ板への彫刻・カットも行えます。


・使用レーザー機その他:speedy300 80w機、2.0inchレンズ、太口コーン、エアアシストon
・材料:ベニヤ合板 4mm厚 コースター(市販品)

・DPI:1000
・写真彫刻 パワー:21 スピード:20 PPI:1000 
・文字・線彫刻 パワー:30 スピード:20 PPI:1000
・カット パワー:40 スピード:0.5 Hz:1000

※同じ厚みであってもベニヤ合板の硬さ(密度)により加工に必要な出力は異なります。
上記はあくまで目安とし、実際に使用する加工材料に適した値に調整してください。




●今回使用したレザー彫刻・カット用データです。
ダウンロード後、解凍してご使用ください(^^♪

Corel DRAW X3
http://firestorage.jp/download/0cfad38a567cd3a31551be765d706c94ccb6b5f3

Illustrator CS
http://firestorage.jp/download/a48034476c31012478cf405fe2962891610c014a



2017年8月21日月曜日

網点データで写真彫刻 2 ~網点データの作り方~

 今回は前回 7月26日掲載『網点データで写真彫刻 1 ~彫刻に適した写真とは?~ 』に引き続き、『網点データで写真彫刻 2 ~網点データの作り方~ 』です。
 



 まずは彫刻に使用する画像を用意し、グレースケールに変換、白い部分は白く、黒い部分は黒く、色にメリハリをつけます。
 グレーも彫刻は出来ますが、グレー部分の割合が多いと全体的に平坦なぼんやりとした出来上がりになってしまいますので、ある程度のメリハリが必要です。

 また、切抜きやサイズ調整などが必要な場合もこの時点で行っておきます
この後で行う作業の後、画像の大幅なサイズ調整や切抜きを行うと彫刻加工の出来上がり(見た目)に影響が出る場合があります。

カラーの画像をグレースケールに変換および明るさ・コントラスト調整
この時点ではまだ網点の状態にはなっていません

 上記作業はベクトルデータ作成ソフト(Corel DRAWやIllustratorなど)でも出来ますが、ドローイングソフト(PHOTO-PAINTやPhoto Shopなど)の方が部分的な明るさやコントラストの調整、不要部分の削除など細かな作業が出来るので便利です。

 また、ベクトルデータ作成ソフトの『切抜き』や『マスク』を使用しての画像や図形の不要部分削除は、画面上(見た目)では削除した部分の画像(図形)は無いように見えますが、データとしては残っています
 したがって、データ作成後jobcontrolにデータを移行した際、切抜きやマスクが反映されず、画像全体が表示される、jobが必要以上に大きい(加工に使用する部分以外に余白が幅広く出来る)、エラーが表示されデータ移行が出来ないなど、作成した通りの(見た目の)データが表示されない場合があるので注意が必要です。

※PHOTO-PAINTでの作業手順はこちら↓
https://trotec-m.blogspot.jp/2016/02/photo-paint_19.html
複数ページあります。作業用途に応じてご覧ください。

 尚、ページ内で色の明るさやコントラスト調整の手順は紹介していませんが、上部ツールバーより『調整』→『輝度/コントラスト/強度』で表示される画面にて調整が出来ます。


 次に上記で調整したグレースケールの画像をモノクロ1ビットに変換(網点処理)します。
 

※以下、PHOTO-PAINT X7での作業手順になります。
各バージョンにより画面表示およびツールに変動がある場合があります。予めご留意ください。


 ①上部ツールバーより『イメージ』→『モノクロ(1ビット)に変換』をクリック。
 
 複数レイヤーを作成し加工を行っている場合、上記クリック直後、全オブジェクトをバックグラウンドと結合するか否かのアナウンスが出てきますが、こちらは『はい』をクリックにて。
 モノクロ(1ビット)に変換後の網点の密度に差が出る場合があります。

 また、『いいえ』を選択してもその後の作業は行えますが、今回案内しています『モノクロ(1ビット)に変換』の加工は部分的には行えません(すべてのレイヤーが網点に変換されます)ので、『モノクロ(1ビット)に変換』を行うまでの作業をすべて完了させておく必要があります。



 ②出てきた画面の上部、プレビュー画面を見ながら上図 赤・青・緑・黄の○印の欄を選択、調整します。

 赤○:ハーフトーンスクリーン
 青○:丸い (複数選択項目がありますが『丸い』が一般的)
 緑○:45度 (任意で入力可能ですが45度が一般的)
 黄○:3ライン (使用する画像、その縦横サイズにより最適な密度は異なります)

※プレビュー画面が表示されていない場合は、画面の左下『プレビュー』をクリックすると表示の切り替えを行えます。


 ③選択、調整を終えたら『OK』をクリックして完成。


 モノクロ(1ビット)画像(網点の画像)の出来上がりです。

 
 次回は今回作成した画像を使用しての彫刻方法について書いて行きたいと思います。



2017年7月26日水曜日

網点データで写真彫刻 1 ~彫刻に適した写真とは?~

 今回は以前紹介したデータ作成方法を利用した加工の、応用編です。


 以前、『ガラスへの彫刻 色入れについて1~文字 データ作成編~ 』(4月26日掲載)では、ガラスに彫刻後、色入れを行えるように『網掛け処理を利用して彫刻痕をザラザラにし塗料が乗りやすくする』ためのデータ作成方法を案内しました。

 今回はそのデータ作成方法を応用するとアクリルやガラス板はもちろん、木板やレザー(本革)への写真彫刻もキレイに出来ますよ、というお話です。

 但し、写真彫刻を行う際は、データの作成方法の前に用意する写真にも注意する点が幾つかありますので、その点から書いて行きたいと思います。


◆用意するもの

・写真
・PhotoshopまたはPHOTO-PAINT(※)など画像編集が行えるドローイングソフト
(OS既存の『ペイント』等は解像度や画像サイズ(タテ×ヨコmm)が解り辛いので不向き)

※Corel DRAWでもOK。
PHOTO-PAINTと一部同じ編集作業が出来る他、上部ツールバーより『ビットマップ』→『ビットマップの編集』をクリックするとPHOTO-PAINTでの編集が可能になります。
(但し、PHOTO-PAINTがインストールされている場合に限ります)


●用意する写真について注意事項

出来るだけ高解像度の、色味にメリハリのある写真を用意する。

○推奨 解像度
300(※)~1200dpi

※300dpiの場合は実際の彫刻サイズ(タテ×ヨコmm)と同サイズまたはそれ以上のサイズ(タテ×ヨコmm)の写真を用意する。

・web等に掲載されている写真はファイルサイズ(ピクセル数)を小さくしてあるため使用不可。

・携帯電話およびタブレット端末のカメラアプリ(※)、デジタルカメラ等で撮影された写真は、実際の彫刻サイズ(タテ×ヨコmm)の約5倍以上の大きさ(タテ×ヨコmm)があれば使用可能。

※携帯電話(スマートフォン)およびタブレット端末のカメラアプリで表示される画像サイズ(解像度)の単位は『ピクセル』です。
下記を参考に『mm』単位でのサイズ確認を行って下さい。

○参考 
5312×2988ピクセル の場合
72dpi=1873.96×1054.1mm
300dpi=449.75×252.98mm
600dpi=224.87×126.49mm

・例えば 
Web上で掲載されている 実寸1128×752ピクセルの写真


画面上では割と大きなサイズ(タテ×ヨコmm)でキレイ(鮮明)に見えても
72dpi だと 約397.93×265.29mm ありますが
600dpi に変換すると 約47.75×31.83mm
300dpi に変換でも 約95.5×63.67mm

 結果、彫刻使用可能な解像度(300~1200dpi)では、最大彫刻サイズ約95×63mmになってしまい、その上に網掛け処理(※)を行うと更に見辛い画像になってしまうため、実質使用不可能となります。

・また、元々ピクセル数の少ない低解像度の写真をサイズ拡大(ピクセル数およびタテ×ヨコmmを増やす)、高解像度に変換を行っても、元の写真(画素)がただ単純に引き延ばされるのみで根本的な解決(解像度増)には繋がらず、ボケた写真になりますのでこちらも使用不可能となります。


※網掛け処理・・・この度案内している写真の彫刻方法の最重要ポイントです。
写真を白黒に変換後、新聞や雑誌紙面のような小さな点々(網点)で構成された画像に変換します。


○目安
実際の彫刻サイズ(出来上がりサイズ)を100×100mmにしたい場合

300dpi 100×100mm=72dpi 約416.67×416.67mm=600dpi 50×50mm=1181.1×1181.1ピクセル

よって、解像度600dpiで50×50mm=1181.1×1181.1ピクセル以上のサイズの写真が必要


○好適な写真(見た目)のポイント

・日向など明るい場所で撮影されたもの
・人や動物の場合、顔やその周囲に陰りのないもの
・手ブレ、ピントずれなどボケていないもの

 蛍光灯など照明器具の光は明るいように見えても写真に撮ると暗くなりがち、人物だと目元などに濃く黒い影が出がちです。
撮影時に出来るだけ明るい場所を選ぶ、窓の傍に寄り自然光を取り込む、別途 白色ライトを用意するなど工夫が必要です。
(カメラの露出度を上げるのもOKですが、上げ過ぎると画質が粗くなり彫刻に影響を及ぼす場合があります。上げる時は程々に)
 また、日向で撮影する場合も帽子のつばや日よけなどの濃い影が出来ないよう注意する他、逆光にも気を付けてください。



今回はここまで。
次回は 『写真データの加工(網点処理)手順について』 です(^^♪




 

2017年7月4日火曜日

ガラス彫刻に水が必要なワケ ~その2~

 前回 7月3日掲載 『ガラス彫刻に水が必要なワケ ~その1~』に引続き、今回は紙の水張りを行わなかった時、貼っていた紙が加工中に乾いてしまった時の危険性についてです。


 前回、写真↓を基に紙の水張りを行った時と行わなかった時の出来上がりの差を紹介しました。

それぞれ赤の矢印が付いている方が紙の水張り無し、緑の矢印が付いている方が紙の水張り有り
紙の水張り無し(赤矢印)で彫刻を行うと、彫刻痕(ガラス表面)の細かなひび割れの目が粗く不揃い
また、ザラザラささくれ立っているせいで全体的に白っぽさが薄く透明感があり、
写真の彫刻を行うとメリハリが無くボケた感じに

 その中で、高出力・低速度で紙の水張りを行わずに加工行った時、または加工中、貼っていた紙の水分が少なくなった箇所へ彫刻を行った時の加工出来上がり具合を紹介した記事がありましたが。
紙の水張りを行わず高出力・低速度で彫刻を行った結果、
彫刻痕がザラザラ、ガラスの表面が大きくささくれ立ち、
浮き上がった部分がボロボロ剥がれて(『で』の上半分、
『気』の横棒部分など)残念な状態に
高出力・低速度での彫刻を紙の水張り無しで行うと、上写真↑のような現象が起こる他、繰り返しまたは長時間行うと、最悪、ガラス自体が割れてしまうことも



  こちらの写真↑は4月27日掲載ガラスへの彫刻 色入れについて2~文字 彫刻編~』用の写真を用意するために行っていたテスト加工中のもの。
 
 約2mm厚の透明ガラス板 緑□内に、ペーパータオルと水を使用せず 解像度:1000dpi、power 100 Speed 10 PPI:1000 で連続2回の彫刻を行った時、2回目の加工中に突然、写真中央付近上寄り(赤○)からピシッという音とともに右端に向けて亀裂が入り、そのままレーザー機を停止させず彫刻を続行していると、その最中に今度は先程よりも少し小さめの音を立てて赤○から下方向に再び亀裂が入りました。
 左上から斜め右下に伸びている割れは加工終了後板を持ち上げた時に出来た割れですが、縦方向に亀裂が入った時に既に亀裂の周辺にヒビが入っていたようで、簡単に割れてしまいました。

 加工終了後すぐに割れた周辺に触れると、瞬時に手を引いたほど熱かったので、加工を行っていた部分周辺に熱が溜り過ぎての割れ、という事のようです。


 一方こちらは↓
破片1つ散ることなく、他にヒビ等も入らず、一瞬で真っ二つに割れました
6月14日掲載『ガラス瓶に彫刻&色入れする~父の日プレゼントにいかが?~』用に加工テストを行っていた時のもの。
※彫刻した文字が黄色っぽく見えますが、これは瓶の色とレーザー機のランプ(オレンジ光)によるものです。色入れ等は行っていません。
  
 720mlの酒瓶を中身は空、フタを閉めた状態で、彫刻台にタオルを敷いた上に置き、解像度:500dpi、power 100 Speed 4.0 PPI:1000で『元気で』の文字を連続2回彫刻。

 この時は半紙を水張りし十分に水を含ませた状態で1回目の彫刻を開始しましたが、この時点でレーザーを照射した部分の紙は無くなっているため、2回目の彫刻を開始した時にはレーザーを照射する部分には紙が無く、1回目の彫刻で残った部分(レーザーを照射した以外の部分)の紙が少し湿ってくっついている状態でした。

 そろそろ水を足さないといけないかなと思いつつ、加工テスト中 且つ既に彫刻終了間近だったので、しばらく様子を伺っていると、突然「ポンッ!」という破裂音とともに瓶が口側と底側、左右真っ二つに割れ、彫刻不能状態(重量バランスが崩れ転がった)に。

 上記↑の彫刻直前にも複数回に渡り加工テストを行っていたので、徐々に瓶とともに瓶の中の空気も温まり膨張した加減で、ガラスの弱い部分から裂けてしまった(暴発した)ようです。
 
 「もし中身が入っていたら?」「ロータリーアタッチメントを使用していたら?」と思うと、大惨事にならずに済んで本当に良かったです(^_^;)ゞ


 このように、紙の水張り無し、または水分不足での高出力・低速度でのガラスの加工は見た目や質感が悪くなるだけでなく、危険を伴いますので、『紙の水張り』はとても重要な作業ということになります。

 と、ここで。
そもそも『紙の水張り』は何を目的にしているのか?ですが。

 紙の水張りの最大の目的は『ガラス表面の温度を下げること』であり、適度に冷やすことでガラスが熱を持ち過ぎ割れるのを防いでいます。

 またレーザー光が一旦水を通る事で熱の分散がされにくく、照射の一点一点がピンポイントで加工対象物に照射される為、彫刻痕のひび割れの目が細かく揃った状態になり、彫刻を行った部分の出来上がり色が全体的に白く不透明で、質感も良い状態になるようです。

 
 使用するガラスによりどのパラメーター値が高出力・低速度に当たるかはそれぞれ異なりますが、先に紹介した2mm厚の板も次に紹介した酒瓶も、高出力・低速度で2回連続彫刻を行っても彫刻痕の溝の深さは極浅い(少し引っ掛かりが感じられる程度)状態でした。
 
 なので『色を入れる為』とはいえパラメータ値や彫刻回数を増やして無理に深さを出そうとはせず、塗料が彫刻痕に乗る(食いつく)ようにデータを工夫した方が良さそうです。
 
 参考:4月26日掲載『ガラスへの彫刻 色入れについて1~文字 データ作成編~ 』







2017年7月3日月曜日

ガラス彫刻に水が必要なワケ ~その1~

 今回はガラス彫刻の紹介をする度に書いている、『紙(半紙、ペーパータオル)と水使用』の訳について、です。

 前々回の更新6月8日掲載『ガラスへの彫刻 ~ペーパーについて~ 』ではペーパータオルに代わる第3の紙、習字用半紙の考案をするなど、ガラス彫刻は薄い紙を水で貼って行う旨を度々書いてきましたが、 そんな中でたまにお問合せ頂いているのが、「ペーパータオルが何処で購入できるのか?」の他に、

「そもそもペーパータオルの水張りは必要なのか?」

という事でした。
 なので今回は紙の水張りを行っていない場合と行った場合との比較を基に、その必要性について書いてみたいと思います。


 まずは透明ガラス板に同一データの彫刻を同パラメータで 紙の水張り 無し、有り 両方で行った写真から。


 上段が紙の水張り無し、下段が紙の水張り有り。

※上・下段ともに、同じ段の中で『あ』の色味が少しすつ異なって見えるのは撮影時の光の反射の加減です。下記説明とは直接関係ありません。

 上段の方が白い色が薄い(灰色に見える)、透明感がある感じ、下段の方が上段に比べると白い色が濃い、透明感が無いように見えます。
 そして上段は手で触れるとザラザラ感が強く、彫刻痕を爪で引っ掻くとガラスの表面が細かく剥がれるような感覚(手に塵状のガラス片が付着する)がありますが、下段は少しザラザラ感はあるもののガラスの表面が剥がれるような感覚はありません。

 また、写真を彫刻すると上記のような現象がもっと顕著に表れます。


 上写真↑も同一画像(子どもの鼻から上部分の写真)データ、同一パラメータで透明ガラス板に、上が紙の水張り無し、下が紙の水張り有りで彫刻を行ったものです。

 下側(水張り有り)がレーザー照射した部分が全体的に白色が濃く、目や眉の形、髪の雰囲気などもわかる程度にメリハリがあるのに対し、上側(水張り無し)は全体的に下側と比べると白色が薄く、ぼんやりとメリハリのない感じ、指で触れた感触も彫刻痕はザラザラパリパリした状態です。

 これはどういう事か?というと。


 ↑この写真は上記で彫刻した内容『あ』の右上部分あたりをCCDカメラで撮影したもの。
 左が紙の水張り有り、右が紙の水張り無しです。

 右の写真(水張りなし)は彫刻痕のささくれ立った感じが強く、ひび割れの目が粗く不揃い、それに対し左の写真はひび割れの目が細かく形が揃っている事が確認できます。
 
 この彫刻痕のひび割れの大きさ(目の粗さ)やその形状により、触った時のザラザラ感の強さや
ガラスの表面が剥がれる感じが起こり、白っぽいか透明感があるかなど見た目の違いにも表れているのです。
 
 で、これが行き過ぎる(紙の水張り無しで高出力・低速度で彫刻を行う)と


 ガラス表面のひび割れてささくれ立った部分が浮き上がり大きく剥がれ落ち(『気』の横棒部分、『で』の上半分)、見た目が残念なだけでなく、色入れを行ってもきれいに仕上がらない状態に。

 ちなみにこの現象は、紙を水張りしていてもその紙が乾いてくると同じように起こりますので、
そうならないためにも早め早めに水を補給し、紙とガラスが十分に濡れている状態で彫刻を行うことが重要です


 次回 『ガラス彫刻に水が必要なワケ ~その2~』 では、紙の水張りを行わずに彫刻を行った場合の危険性について書きたいと思います。











2017年6月14日水曜日

ガラス瓶に彫刻&色入れする~父の日プレゼントにいかが?~

  今回はロータリーを使わずにガラス瓶に彫刻を施したいと思います。



 これまで数度に渡りロータリーアタッチメントを使用しての彫刻(2015年8月11日更新 『ロータリーアタッチメントを使用しガラス瓶に彫刻』など)を案内してきましたが、今回はロータリーを使用せず、手動で瓶の彫刻位置を変えながら彫刻をしてみたいと思います。


 まずはデータから。


  今回はCorel DRAWを使用しデータ作成を行いました。

 データの縦および横のサイズは実際に彫刻を行う瓶の彫刻可能な範囲(曲面のない平らな部分)のサイズに合わせます。 
 ちなみに、今回使用した瓶の彫刻可能範囲は縦 約130mm、横(瓶の外周) 約250mmでしたので、縦 約120mm、横 約120mmのサイズで収まるデータ作成を行っています。

 尚、今回は彫刻後色入れを予定していますので、文字5行の内、前3行『お父さんへ』『いつまでも』『元気で』はビットマップファイルに変換・網掛け処理してあります。
 
 以前、4月26日更新 『ガラスへの彫刻 色入れについて1~文字 データ作成編~』 でも紹介したように、レーザー加工機を用いての彫刻ではガラスに深い溝を刻む事は出来ませんので、太い線の大きな文字(フォント)を彫刻後、色入れを行いたい場合は、予め文字をビットマップファイルに変換し文字が『網掛け』されている状態のデータを作成して彫刻を行います。
 そうする事で彫刻痕がザラザラした手触りになり、溝に深さが無くても色入れがスムーズに行えるようになります。

 網掛け処理データの作成手順は↑上記同ページ並びに4月27日更新『ガラスへの彫刻 色入れについて2~文字 彫刻編~』にて。

 ※但し、大きくても線の細い文字(フォント)や小さな文字に網掛け処理を行うと文字が潰れてしまったり読み辛くなったりする場合がありますので、加減を見ながら処理を行って下さい。



 彫刻を行う部分は黒色の文字のみ。
オレンジ色の線と①~④までの赤数字は彫刻位置および順番を示すガイドです。

 今回はロータリーアタッチメントを使用しませんので、データを実際に彫刻する方向に向け(上図の場合、レーザー機を正面に見て瓶の口を左側に、横向きに瓶を置いて彫刻を行う状態になります)用意し、①~④まで4回に分けて出力します。

 
 彫刻に進みます。

■使用レーザー機:Speedy300 CO2 80w機
 レンズ:2.0inch

■用意するもの
・ガラス瓶
・半紙(ペーパータオルの代用 参照:6月8日更新『ガラスへの彫刻 ~ペーパーについて~ 』
・霧吹き(または旅行用詰替え容器、中身は水道水)
・タオル(またはスポンジなど柔らかいもの、彫刻時ガラス瓶の下に敷く用。汚れてもよいもの)

■加工オプション
加工モード:標準
解像度:500dpi
ハーフトーンン調整:モノクロ

■パラメータ
power 100 speed 8.0 PPI 1000

※高出力・低速度で加工を行います。
加工開始直前に半紙に充分水を含ませ、乾きかけたと感じた時は早めにレーザー機を一旦停止させ水の補給を行ってください
紙が乾き捲れ上がると失火に繋がる恐れがあります。

※加工中はレーザー機の傍から離れず、目を離さないよう注意してください。


彫刻イメージ動画です↓


※撮影用に彫刻機の上面のフタを開けています。
実際に加工を行う際は必ずフタを閉じて行って下さい。


彫刻完了↓


色を入れて出来上がり
水性塗料の金色を使用しています↓
 
 

 ロータリーアタッチメントを使用せずに彫刻する場合は、如何に『瓶に対して真っ直ぐに彫刻できるか』『思い通りの行間隔で文字を配置できるか』がポイント。
 
 複数の同じ形の瓶に彫刻を行う場合は専用に治具(型)を作成し固定して行うのが最適ですが、1本だけに行う場合は正直、面倒。
 そんな時は、瓶にガイドラインを引く、事前に半紙を水で貼り行間隔・配置を見ておく、などひと手間を加えてチャレンジしてみてください(^^♪



■ 6月16日 補足

 基本的な事ですが
レーザー機は彫刻対象物に対し水平にしか加工できません(Z軸が固定されている、稼動中自動では動かない)ので、曲面(R)がきつい部分は焦点が合わず彫刻痕(輪郭)がぼけ、溝も本来の深さよりも浅くなってしまいます。

 ロータリーアタッチメントを使用しない状態での彫刻では、一度の稼働で行える加工範囲が限られますので、円形のもの、曲面のあるものへの加工を行う場合は文字や図形のサイズに注意してください





2017年6月8日木曜日

ガラスへの彫刻 ~ペーパーについて~

 今回はガラスに彫刻する際使用する『ペーパー』について考えてみたいと思います。

 これまでこちらのブログでは、ガラスに彫刻する際、彫刻を行う部分にペーパータオルを水で貼り付け彫刻を行うよう紹介してきました。
 
参照:『ワイングラスに彫刻 』2016年4月21日掲載
SP300 flexでガラス板に彫刻 ~彫刻~ 』2015年4月30日掲載  他

また、それ以前は新聞紙を用いての加工の紹介もしていました。

参照:『ロータリーアタッチメント加工』 2015年3月6日掲載

 新聞紙は比較的紙質が硬く厚みがある他、水の含みも均一にし辛いため彫刻ムラが出来やすく、テスト加工を何度も繰り返し行うなどある程度の経験値やテクニックを必要としていました。
 一方、ペーパータオルは薄い割に丈夫な上、水の含みも均一にしやすいため比較的加工を行いやすく、現在もガラスへの彫刻の紹介をする度に案内しています。

しかし。

 そんな中でたまにお問合せ頂くのが、ブログ内で案内しているエンボス加工(凹凸のある柄など)が無いペーパータオルが「近隣のスーパーや薬局では販売していない」「何処で購入できるのか?」といった内容。

 という訳で、今回は新聞紙、ペーパータオルに代わる『第3の紙』の考案です。


 ペーパータオルに似ていてエンボス加工が無い無地のものというとティッシュが想像しやすいですが、ティッシュだと彫刻する事自体には問題ないですが、紙がとても薄く、水を含むと乾いている時以上に破れやすいため、一度しわが寄ると伸ばすのがとても困難です。
 なので、ペーパータオルよりも厚みがあるものの、水の含みが良く、しわが寄っても伸ばしやすい紙として半紙を用意してみました。

 用意した半紙は100円均一で購入した、ごく一般的な習字用半紙
ペーパータオルの時と同様、霧吹きに入れた水道水で水を吹付け、ガラスの加工したい部分に貼り付け使用します。


■ 結果(使用感)
・吸水性が高く、浸透も早い。

・水で濡らしてもシワが寄りにくい。

・ペーパータオルのように伸縮性が無いため、水に濡らすと破れやすい。
シワ伸ばし、位置調整をする時は事前に水を十分に含ませ、ガラスの上をゆっくりと指で滑らせるように動かす。

・ペーパータオルよりも厚みがあるので、厚みの分だけパラメーター調整を行う(少しpowerを上げる)必要がある。

 ペーパータオルの代用には問題なし。
しかし伸縮性がなく破れやすいなどの短所を踏まえると、どちらが最適かは好みによる、と思います(^_^)。